名歌手藤山一郎が唄う城ヶ島の雨

 もうじき鬱陶しい季節になる。木々が潤い、生き物全てが命を育む梅雨時である。
私は生まれも育ちも三浦なのでこの歌の情景が手に取るように分かる。この歌、古今の名曲だ。偏見だが、日本の歌曲は肩肘張って理屈っぽいものが多い。その中でこの曲、メロディも歌詞も自然にのみ込めて実に素晴らしい。白秋が三浦に住んでいたときに作ったものだからであろうか。
 しかし歌手にとっては難物ではないか?実際いろいろな歌手が歌うのを聴いたがいずれも帯に短し襷に長し。しかし、この人ならと思って探したらやはり素晴らしいの一言に尽きた。
 私は藤山一郎は近代日本の歌手で最高の人と思っている。この期待はやはり裏切られなかった。情感豊か且つ端正。もう非の打ち所がない。
 もうじきこの歌の季節だ。不世出の名歌手藤山一郎さんの城ヶ島の雨をじっくり聴こう。